宮古島には大きな川や湖がほとんどありません。それでも島の農業を支えるために、多くの水が使われています。
その水を確保する重要な施設の一つが、地上からはほとんど見えない「地下ダム」です。
地下にダムがあると聞いても、どのように水を貯めているのか想像しにくいかもしれません。宮古島では島特有の地質を利用し、地下を流れる水をせき止めて農業用水として活用しています。
宮古島市地下ダム資料館では、模型や実物資料を見ながら、その仕組みを知ることができるでしょう。
この記事では、宮古島の地下ダムを見学する方法をはじめ、地下ダムが造られた理由や水を貯める仕組み、資料館で見られるものを紹介します。宮古島の景色だけでなく、島の暮らしや農業を支える水の仕組みにも触れてみてください。
宮古島で地下ダムを見学するなら地下ダム資料館へ
宮古島の地下ダムは大部分が地中にあるため、一般的なダムのように大きな堤体や貯水池を眺める見学とは性質が違います。
まず宮古島市地下ダム資料館で地層と止水壁の関係を理解し、その後に隣接する福里地下ダム水位水質監視施設を見ると、地下ダムの構造をイメージしやすくなるでしょう。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
参照:宮古土地改良区「施設紹介(福里地下ダム水位水質監視施設)」
地下ダムの内部へ入る見学ではない
宮古島市地下ダム資料館で見学できるのは、地下ダムの内部を歩くツアーではありません。
地下ダムは地表から全体像を確認しにくいため、資料館では地下の構造や地下水の動きを理解できるように、模型や映像などを展示しています。見学では地下の施設そのものを見るのではなく、模型や映像を通して地下ダムの構造や地下水の流れを学べます。
地下ダムは地下に巨大な空洞を造り、そこへ水をためる施設でもありません。水を通しやすい地層の中を流れる地下水を地中の止水壁でせき止め、地下水位を上げて利用する仕組みです。館内で地層と止水壁の位置関係を先に見ることで、地表から全体像を確認できない地下ダムでも構造を捉えやすくなるでしょう。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
資料館と福里地下ダム水位水質監視施設で見られるもの
館内では、地下ダムの建設技術だけでなく、宮古島の地質から地下水、農業用水の利用までを一連の流れとして学べます。
模型で地層全体を見た後にボーリングコアを確認すると、雨が地下へ浸透していく様子と、水を通しにくい層との関係を具体的に捉えられます。映像や体験装置で全体像をつかみ、興味を持った部分を実物資料で確かめる見方もよいでしょう。なお、ボーリングコアとは、地面を円筒状に掘って採取した、地中の地層サンプルのことです。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
資料館の近くには福里地下ダム水位水質監視施設があります。ここでは、地下ダムの上流側と下流側の地下水を地上から確認でき、カラーアスファルトの管理用道路は地下に続く止水壁の位置を示しています。地下ダム全体が露出しているわけではありませんが、館内で見た模型と現地の設備を結びつけられる場所です。
参照:宮古土地改良区「施設紹介(福里地下ダム水位水質監視施設)」
地下ダム資料館の料金・開館時間・予約
宮古島市地下ダム資料館を旅行の日程に入れるときは、入館料だけでなく、休館日や最終入館時刻、予約や事前連絡の考え方まで整理しましょう。
通常の個人見学と団体利用では事前に確認したい項目が異なるため、まず料金と開館条件を確認し、その後に人数や希望する見学内容に応じて連絡が必要か判断することが大切です。
入館料金と開館時間
個人の入館料金は、一般330円、高校生・大学生220円、小学生・中学生110円です。
15人以上は団体料金となり、一般275円、高校生・大学生165円、小学生・中学生55円に変わります。未就学児の料金や支払い方法など、宮古島市の現行ページに記載されていない項目は、訪問前に資料館へ確認しておくと安心です。
開館時間は9時から17時で、休館日は毎週月曜日と12月29日から1月3日です。
国土交通省のダムカード配布情報では入館16時30分までとされており、カードの配布も資料館の開館日に合わせています。旅行サイトに古い料金や季節別の営業時間が残っている場合は、宮古島市と国土交通省の現行情報を基準にするとよいでしょう。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
参照:国土交通省 水管理・国土保全局「ダムカード(沖縄地方)」
個人・団体見学の予約は必要か
宮古島市の施設ページには、通常の個人見学について予約必須とも予約不要とも明記されていません。
少人数で展示を見る場合でも、臨時休館や見学条件が気になるときは、訪問前に開館状況を確認しておきましょう。一方、15人以上の団体や学校行事で利用する場合は、希望日時に対応できるか事前に相談するとよいでしょう。視察や詳しい解説を希望するときも、対応できるかあわせて確認しておくと予定を組みやすくなります。
なお、問い合わせ先は宮古島市地下ダム資料館で、電話番号は0980-77-7547です。所在地は宮古島市城辺字福里1645-8です。連絡するときは訪問予定日と人数に加え、希望時間や見学内容まで伝えておきましょう。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
地下ダム資料館の所要時間は30〜60分が目安
地下ダム見学の所要時間は、30〜60分ほどを目安に考えるとよいでしょう。
地層模型やボーリングコアなど主要展示を中心に見るなら30分前後、映像や体験型の装置も含めて回るなら45分前後が一つの目安です。展示のどこまで見るかによって、同じ館内見学でも滞在時間は変わります。
館内をじっくり見た後、福里地下ダム水位水質監視施設まで見学するなら、45〜60分ほどが一つの目安です。受付やダムカードの受け取りにも時間がかかる可能性があるため、次の予定を詰めすぎないほうがよいでしょう。
なお、30分・45分・60分という時間は施設が公表している所要時間ではなく、本記事で設定した旅行計画上の目安です。展示解説を読む速さや同行者の年齢、屋外施設を見るかどうかで滞在時間は変わります。
閉館前に急いで回るより、見たい範囲を決めてから到着時刻を逆算してみてください。
宮古島の地下ダムの仕組みと造られた理由
地下ダムは地表から全体像を見られないため、現地の設備だけでは役割をつかみにくいことがあります。
仕組みを理解するには、地下水をどのように貯めて農地へ送るのかと、なぜ宮古島でその方法が成立するのかを分けて見ることが大切です。
ここでは最初に取水から配水までの流れを確認し、続いて島の地質と地下ダムの関係を見ていきます。
地下水を止水壁でせき止めて農地へ送る
地下ダムを造るには、地下水が流れる帯水層と、その下に水を通しにくい不透水層が必要です。
宮古島では、水を通しやすい琉球石灰岩の下に、水を通しにくい島尻層があります。さらに、断層によって地下に谷状の地形が形成されていることも、地下水をせき止めるうえで重要な条件です。
貯めた地下水は取水井戸からポンプで地上へくみ上げられ、その後、ファームポンドや送水施設を通して農地へ送られます。地下ダムだけで畑に水が届くのではなく、取水から送水、配水までを担う複数の施設との連携が必要です。
資料館ではこの流れを模型や映像で追えるため、土木設備の名称だけを見るより、地下水が畑へ届く順番を意識すると理解しやすくなります。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
宮古島の地質が地下ダムに向いている
宮古島は透水性の高い琉球石灰岩で覆われており、雨水が地表に長く残らず地下へ浸透しやすい島です。
宮古島市によると、年間約2,200mmの降水のうち地下水になる割合は約40%です。地表に水を貯める方法とは異なり、地下へ浸透する水を島の地質の中で貯めて利用する考え方が地下ダムにつながりました。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
地下に水を貯めることで、降雨の直後だけに頼らず農業用水を利用できるようになります。一方で、地下水は無限に使える資源ではなく、貯めた後の管理も重要です。貯水量や地下水位を確認しながら利用する点まで含めて見ると、宮古島の農業を支える水利施設としての役割が分かります。
宮古島のダムカードは4種類ある
ダムカードを集める場合は、カードごとの名称だけでなく、どこで受け取れるのか、対象の地下ダムと配布場所が同じかを分けて確認しましょう。
宮古島では複数の地下ダムカードが一つの窓口で配布されているため、カードを目的に各ダムへ向かう前に配布条件を把握しておくことが大切です。
ここからは、カードの種類と現在の配布条件を順に確認します。
参照:国土交通省 水管理・国土保全局「ダムカード(沖縄地方)」
福里・砂川・皆福・仲原の4種類を配布
宮古島で配布されている地下ダムカードは次の4種類です。
- 福里地下ダム
- 砂川地下ダム
- 皆福地下ダム
- 仲原地下ダム
4種類とも配布場所は宮古島市地下ダム資料館で、仲原地下ダムは国土交通省の一覧で「建設中」として掲載されています。
福里地下ダムは資料館に隣接していますが、砂川・皆福・仲原は配布場所とダムの位置が別です。カードを目的に移動する場合は、ダムそのものの所在地とカードを受け取る窓口を分けて考える必要があります。資料館で4種類の配布状況を確認してから、実際に見たい地下ダムがある場合だけ現地へ向かえば、不要な往復を減らせるでしょう。
参照:国土交通省 水管理・国土保全局「ダムカード(沖縄地方)」
ダムカードを目的にするなら配布状況を確認する
国土交通省の現行一覧では、宮古島の4種類はいずれも宮古島市地下ダム資料館で9時から17時まで配布され、入館は16時30分までとされています。
月曜日と12月29日から1月3日は休館のため配布対象外です。また、配布時間内でも事情によって対応できない場合があるため、事前に連絡してから出かけるとよいでしょう。
なお、現在の国土交通省一覧には、宮古島の4種類について「ダムへ行った証明写真が必要」とする記載は見当たりません。別のダムでは写真提示が必要な場合にその条件が明記されているため、古い旅行記の受け取り条件をそのまま現在の受け取り条件に当てはめないほうがよいでしょう。
4種類すべてを集めることが旅行の目的なら、訪問日に資料館に配布状況を確認してから向かうと、配布条件の確認漏れを防げます。この点は、現行一覧の記載方法をもとに判断しています。
参照:国土交通省 水管理・国土保全局「ダムカード(沖縄地方)」
地下ダム資料館へのアクセス
宮古島市地下ダム資料館の所在地は、宮古島市城辺字福里1645-8です。
宮古空港から向かう場合は、福里地区を経由します。カーナビや地図アプリでは、施設名または住所を目的地に設定しておくとよいでしょう。
地下ダムは大部分が地中にあるため、「福里地下ダム」だけを目印にすると到着地点を判断しにくい可能性があります。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
宮古空港から車で約30分
宮古島市の案内では、宮古空港から県道78号線で城辺福里地区まで約25分進みます。その後、福里バス停の50m先を右折し、案内標識に従って約5分で資料館に到着します。
合計で約30分かかる計算になりますが、道路状況や出発場所によって到着時間は変わるため注意が必要です。資料館の見学開始時刻を決めている日は、受付時間から逆算して出発すると余裕を持って到着できるでしょう。
参照:宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」
城辺や宮古島東部を回る日なら、平良市街地から資料館だけを往復するより、同じ方面の観光スポットと組み合わせると平良市街地との往復を減らせるでしょう。
島内観光で車を使う範囲を決めるときは、「宮古島でレンタカーが必要かを判断するポイント」も確認してみてください。
路線バスは往復の時刻まで確認する
路線バスで福里地区へ向かう場合は、行きの便だけでなく帰りの便まで先に確認します。
降車する停留所から資料館まで歩く区間があるため、徒歩経路の確認も必要です。便数や通過時刻は利用する日ごとに確認する必要があるため、車で向かう場合より移動計画を細かく決めておきましょう。
宮古島の路線バスは運行会社ごとに路線や時刻表が分かれています。福里方面へ向かう便を探すときは、最新の時刻表と復路の便を「宮古島の路線バス4社の調べ方」で確認してみてください。
空港から直接向かう場合は乗り換えが必要になることもあるため、荷物の量や到着時刻まで含めて交通手段を選ぶことが大切です。
地下ダム見学を宮古島観光へ組み込む方法
地下ダム資料館は城辺福里にあるため、宮古島東部を回る日に組み込むと移動の重複を抑えられます。
資料館のためだけに観光ルートを固定するより、東平安名崎など同じ方面で訪れたい場所を先に整理し、その中に30〜60分の見学時間を入れるほうが予定を立てやすくなるでしょう。
宮古島全体を回る順番を決める段階では、「宮古島観光のスポットとモデルコース」も見ながら東部を回る日を決め、その日に資料館を加えてみてください。城辺にある多良川の見学も検討している場合は、予約時間や現在の見学条件を「宮古島の泡盛見学と多良川の最新情報」で先に確認すると、両施設の見学時間が重ならないよう調整できます。
雨の日は館内展示を中心に見られますが、福里地下ダム水位水質監視施設は屋外です。
強い雨や風がある日は屋外施設の見学を予定から外し、移動しても安全かどうかを先に判断します。天候に応じて観光先を入れ替える場合は、「宮古島の雨の日観光と屋内スポット」も参考にしながら一日の予定を組み直してみてください。
宮古島の地下ダム見学についてよくある質問
宮古島市地下ダム資料館を訪れる前には、公式ページだけでは分からない条件もあります。
以下では、本文で扱った料金や開館時間ではなく、設備や利用条件に関する疑問を取り上げます。
気になる設備や利用条件がある場合は、訪問前または受付時に資料館に確認すると行き違いを減らせるでしょう。
未就学児の入館料はいくらですか?
館内で写真撮影はできますか?
車椅子やベビーカーで見学できますか?
入館料は現金以外でも支払えますか?
トイレや休憩設備は確認できますか?
まとめ|地下ダム資料館で宮古島の水の仕組みを知ろう
宮古島の地下ダムを見学するなら、城辺福里にある宮古島市地下ダム資料館を起点に旅行の計画を立てましょう。
地下ダムは地下水の流れを止水壁でせき止め、地中に水を蓄えて農業用水として利用する施設です。館内では地層模型やボーリングコア、映像などを通じて、目では見えにくい地下の構造を学べます。
一般料金は330円で、開館時間は9時から17時、休館日は月曜日と12月29日から1月3日です。見学時間は旅行計画上30〜60分ほどを目安にし、屋外の福里地下ダム水位水質監視施設まで見るかどうかで調整するとよいでしょう。ダムカードは福里・砂川・皆福・仲原の4種類が資料館で配布されています。
宮古空港からは車で約30分が目安です。展示を見るときは、宮古島の地質や地下水、農業がどのようにつながっているのかを意識すると、見学内容を理解しやすくなります。東部観光の途中に立ち寄る場合も、開館日と到着時刻を先に決めてから周辺の予定を組んでみてください。
